top of page

Mother's Day2026 エッセイ②

  • 5月17日
  • 読了時間: 4分




タイトル:正解探しの果てに

執筆者:あかり


子どもの頃から我慢することが当たり前で、言われた通りにして、ずっと「いい子」でいた。自分に気持ちがあるなんてことも知らなかったかも。


大人になり、母親になってからもその生き方は変わらず、気付けば私は自分だけでなく周りにも我慢をさせていた。


少しずつ、確実に、いろんなものが噛み合わなくなっていった。


ひとり親として息子を育てると決めた後も、私はちゃんとした母親であろうとしていたし、「なんなら父親役もやってやる」ぐらいの気合だった。


誰かの人生を支えたい、そんな思いで就いた仕事だったけど私の信念は理解されず、目指していたものからかけ離れていく毎日。本来の思いとは違うことをして、波風を立てないようにしていたら、気付けば自分をすり減らし、心身ともに限界だった。あの頃の空気はどこか重たく、呼吸すら気付かれないようにしていた。


そんな時ふらりと立ち寄った本屋で1つの箱に目が止まった、というよりその箱に描かれた色鮮やかな龍と一瞬目が合い、導かれるように手に取った。家に帰ってそっと開けてみると、驚いたことに占いのカードだった。


半信半疑で1枚引くと…


見開いた眼が印象的な「瑞龍」のカード、「ありえない奇跡が起こる」と書いてある。


「これから良くなるよ 罪悪感なんて持たないで」


そう言われたような気がして、暗い部屋に小さな光がふわっと灯った。


カードって面白い!言葉の力ってすごい!


カードを引くたび、これまで蔑ろにしていた「自分の心のセルフケア」ができた感じがして、夢中になっていた。


少し元気になった私は「こんなことしていられない、頑張らないと!」と、楽しかったカードから離れて、また「正解」を探して彷徨い始めた。


もはや、やらなければいけないことも、何を選ぶべきなのかさえも、分からなくなっていた。


そんな中、仕事相談で行った市役所のカウンターに「シングルマザーのセルフケア講座」と書かれた名刺サイズのカードが置いてあった。


これまでならスルーしていたかもしれないけど、「カード」「セルフケア」というキーワードに偶然の一致を感じたのかもしれない。


「これいただいてもいいですか?」自然と手に取っていた。


何かのきっかけになるかも、と少しの期待を胸に参加を決めた。自分と向き合うプログラムは、見ないようにしていた気持ちに向き合うゆっくりとした時間だった。同じひとり親たちの話を聞き、心の中で何度もうなずいたり、言葉にできなかった思いに名前がついたりして、世界が広がっていった。


ふと、カードを引いていた時のあの感覚とリンクした。


「占い師になろうかな」


そんな気持ちが芽生えて自分でも驚いた。私の中の「わたし」が言う。


「でも怪しい職業だよ、安定した仕事を手放していいの?」

「信念はなんだったの?占いで誰かの人生を支える道もあるんじゃない?」

「いやいや、生活のためにもこのまま我慢して働くべき、時には贅沢もできるでしょ?」

初めていった2人旅、部屋の露天風呂で息子がはしゃいでいた姿が、何度も浮かんだ。それでも私は、決めた。


「2年間だけやってみよう だめだったら戻ればいい」ドキドキしている自分にそう言い聞かせて、一歩踏み出した。占いの勉強に没頭し、少しずつ収入にもつながっていった。目の前の人が笑顔になって、力になれた気がして、すごく嬉しかった。


でも同時に、どこかで怖かった。「こんなに好きなことをしていていいの?私、間違ってない…?」

そんな迷いを抱えていたある日、息子が嬉しそうに近付いてきて言った。


「ママが好きなことしてくれてありがとう。とっても楽しそうだね!」


一瞬、言葉の意味がわからなくて思わず聞き返す。


「ママが好きなことしてると、嬉しいの?」


息子は当たり前のようにうなずいて、ギュッと抱きついてきた。声が震えそうで何も返せず、少し伸びたその背が涙をそっと隠してくれた。


「あなたは私、私はあなた」


そんな言葉がふと浮かび、「母親なんだから」という言葉が静かにほどけた。


ずっと探していた「正解」はこんな近くにあった。息子の言葉はどんなカードよりもまっすぐ私の心に届いた。


人生はカードを引くことに似てるかもしれない。何が出るか分からない。正しいカードなんてない。


引いたカードをどう受け取るかは自分で決めていいし、引き直したっていい。


「あなたが引いたのはどんなカードですか?」 今笑顔なら大丈夫、それは間違ってないからね。



Mother's Dayキャンペーン2026ご寄付のお願い
最後までお読み頂きありがとうございました。このエッセイは、Mother's Dayキャンペーン2026のために、シングルマザーのあかりさんが執筆しました。NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、シングルマザーの心とからだの健康とエンパワメントを支援する団体です。ご寄付は、「シングルマザーのセルフケア講座」やその他エンパワメントプログラムの運営費として大切に使わせていただきます。ご寄付はこちらの寄付ページで受け付けております。

1件のコメント


luana07021.5
5月17日

いろんな葛藤をか抱えながらも頑張ってきた様子が自分と重なり、読んでて癒されました。


またぜひあかりさんのエッセイ読みたいです。

いいね!

おすすめ記事

Image by Jason Leung

5周年記念!
特別コンテンツ

bottom of page