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Mother's Day2025 インタビュー②

更新日:5月5日


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試練を引き受け、希望を育てる

執筆者 佐藤純子さんインタビュー

聴き手:吉岡マコ


この春、シングルマザーズシスターフッドのMother’s Dayキャンペーンが5周年を迎えます。この節目の年にあたり、これまで8回にわたってキャンペーンでエッセイを執筆してくれたシングルマザーたちの「その後」に耳を傾ける、スペシャルインタビュー企画を実施しました。 


第2弾に登場してくれたのは、これまでに3本のエッセイを執筆してきた佐藤純子さん。選択的シングルマザーとして出産し、その後、子育てと仕事を続けながら、乳がんの手術を乗り越えたがんサバイバーでもあります。また、娘さんの外見にまつわる偏見に直面しながら、親子で力を合わせて歩んできました。


最初のエッセイ発表から3年。仕事、子育て、そして自分自身の歩みを見つめながら紡いできた言葉たちを、あらためて読み返してもらい、当時の自分、そこからの変化、そしてこれからのことについて、じっくりお話を伺いました。ぜひ、執筆されたエッセイとあわせて、ご覧ください。


誰かの力になるということ 2022年5月

ファイト!! 2022年12月

アメリカで見つけたワークライフバランス 2023年 12月


1. 過去に執筆したエッセイを今読み返してみて、どんな思いが湧いてきますか?


拙いながらも、よく書いたなあ 

実は、私は2021年のMother's Dayキャンペーン、つまり初回のキャンペーンからスタッフとして参加していたんです。でも、文章を書くことに苦手意識があって、エッセイ制作チームではなく、広報チームにいました。その時は、まさか自分がエッセイを書くとは思っていなかった。


3回目のキャンペーンでエッセイのテーマが「セルフケア」だと知って、「これは書かなきゃ」という気持ちが芽生え、初めて執筆にチャレンジすることにしました。今、あらためて読み返すと、拙いながらも、よく書いたなあ、と思います。


簡単なことではなかった

エッセイを書くとは、闘病のことなど、自分が経験してきたつらいことをあらためて表に出す作業でもありました。だから、簡単なことではなかった。それでも、自分のことをきちんと消化して、言葉にしておきたかったんだと思います。


1つ目のエッセイを完成させて、書くことについてのハードルが下がったタイミングで、その頃、悩んでいたことがあり、2つ目のエッセイを執筆しました。娘を出産する前からわかっていたことなのだけど、肌の色やルーツのこと、心無い言葉を受けたときの戸惑い、いつかは向き合わなければいけない我が家の課題、答えが出ない問題だけれど、書くことで整理しておきたかった。


娘に残したい気持ち

エッセイを書くときは、娘のために今の自分の気持ちを残しておきたい、という想いで書いていました。将来、娘が読むかもしれない。だからこそ、そのときどきの正直な気持ちを、できるだけまっすぐ言葉にしておきたかった。


2.「当時の自分らしいな」と思うところ、また「今の自分とは違うな」と感じるところがあれば教えてください。


「誰かの力になりたい」という思いは、エッセイを書いた当時も、今も、変わっていないなと思います。闘病を経験して、命には限りがあるということを身をもって知りました。自分は生かされている、その限りある時間をどう使うかを考えるようになった。だからこそ、困っている人がいたら、ちょっとしたことでも手を差し伸べたいという気持ちは、エッセイを書いた当時も今もずっと変わらずにあります。 


3. エッセイを書いたときから現在までの間で、あなた自身に最も大きく起きた変化は何ですか?


キャリア観の変化 

エッセイを書いた頃、私は新卒で入った会社で20年以上営業の仕事をしていました。競争の激しい世界で、やりがいもあった。けれど、闘病を経験して「このままでいいのかな」と思うようになりました。 がむしゃらに頑張るだけでなく、自分の価値観にもっとフィットする仕事がしたい。そんな風に価値観が変化しました。


キャリアチェンジへ踏み出す

エッセイを書くことで自分を見つめ直し、グループリフレクションで何度も内省し、キャリアチェンジへの思いが次第に明確になっていった頃、社内公募があり、キャリアチェンジをしたく営業じゃない間接部門へ思い切って応募しました。実務経験が不足していることもあり、そこは不合格でしたが、提出したエントリーシートを読んだ方からオファーをいただいて、4月~キャリアチェンジをして今は多様性を推進する部署で働いています。行動を起こしたことで、思いがけない新しい扉が開きました。


価値観と仕事が重なる場所へ

今年の4月から新しい部署の仕事に携わり、LGBTQ+や外国籍の社員、障がいのある社員など、さまざまなマイノリティに光を当てるお仕事に携わっています。営業とはまったく違うけれど「誰かの力になりたい」という私の価値観と仕事が重なっている。営業とは全く違う分野なので勉強することも、覚えることも沢山あり、時短勤務の私にとっては大変な仕事ですが、毎日がとても充実していて、楽しいです。


4.もし今、改めてエッセイを書き直すとしたら、書きかえたいところはありますか?


書き直したいところはありません。そのときの正直な気持ちを、校正者のみなさんと一緒に、納得いくまで作り上げたエッセイだから。一人で作ったわけではなく、何度もやり取りを重ねながら仕上げた実感があり、今でも大切に思っています。


5.シングルマザーズシスターフッドのキャンペーンに参加した経験が、あなた自身や周囲との関係性に与えた影響はありますか?


多様性、リスキリング、あとはシスターフッドを意識するようになりました。


ありのままを受け入れ、バイアスをかけないものの見方を大切にしたいと改めて思っています。シングルマザーズシスターフッドのキャンペーンでは、クラウドのツールを使いこなしたり、マーケティングの手法を使って広報するなど新たに学ぶことも多く、リスキリングして自分をアップデートしていくことの大切さを感じました。


そして何よりシスターフッド。女性同士の連帯は、すごく意味がある。もっともっと色々なところでシスターフッドが生まれてほしいという思いが強くなりました


6.エッセイを書いた時の自分にメッセージを送るとしたら、どのような言葉を伝えたいですか?


「大丈夫。そんなに心配しなくても、私も娘も元気にすごしているよ」と伝えてあげたいです。私は人からはポジティブでパワフルだねと言われることが多く、そう見えるかもしれないのですが、実は心配性でネガティブに振れやすいので。


7.これからの3年間で、あなた自身が大切にしたいこと、また実現したい夢や目標があれば教えてください。


多様性を認め合える社会・誰かの助けになることを大切にしたい。仕事でも、様々なマイノリティに光を当てるために何が必要なのか?を企画し、啓発・発信していくことを仕事にしています。どんな人でも働きやすいってどういうことなのかを考え、常にプロフェッショナルでありたいと思っています。


実現したいこととしては、娘のルーツであるケニアにできれば小学生のうちに行ってみたいと思っています。それから、自分のエッセイを読んでアメリカにもう一度行きたいという気持ちを思い出しました。もう一度機会を作っていきたいと思います。


8.このキャンペーンを通して、家族の多様性が社会にどのように伝わってほしいですか?あなたの思いを聞かせてください。


シングルマザーにも本当にいろんな人がいます。多様性をありのまま受け止めて、バイアスをかけずにみてほしいと思っています。シングルマザーズシスターフッドで出会うシングルマザーも境遇は様々ですが、素敵な方たちばかりで、私が励ます立場にいたいと思いながら、いつも私が気づきや刺激をたくさんもらっています。


9. 自分のエッセイの中で、お気に入りのフレーズがあれば教えてください!


「パワフルでいつも突き進んでばかりの私の後ろ姿を、娘にみてもらえたら、それだけでいいのだ。」(誰かの力になるということ 2022年5月 より)


「大丈夫。どんなことがあっても必ず居心地がいい場所はあって、心ない言葉に遭った時は、一緒に闘い続けるよ。娘の未来をずっと明るく照らし続けるのが私の一番のミッションだと思っている。」(ファイト!! 2022年12月 より)


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さとじゅんさん、ありがとうございました。闘病や人種問題といった大きな試練を引き受けながらも、歩みを止めず、自分自身と向き合い続けてきたさとじゅんさん。


「誰かの力になりたい」という思いを軸に、仕事も子育ても、自分らしく切り拓いてきた軌跡が、インタビューを通してあらためて伝わってきました。


インタビュー当日は、娘さんと一緒に撮影にも協力してくれて、親子のあたたかな笑顔をカメラにおさめることができました!これからもさとじゅんさん親子の未来を、心から応援しています。



Mother’s Dayキャンペーン2025応援のお願い
最後までお読みいただきありがとうございました。シングルマザーズシスターフッドの支援活動に少しでもご共感いただけましたら、ぜひ応援のご寄付をお願いします。

いただいたご寄付は、シングルマザーのセルフケア講座や表現による自己の回復プログラムを継続するための運営費として大切に使わせていただきます。こちらの寄付ページで受け付けております。

NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、ひとり親の心身の健康とつながりを支援する団体です。毎年5月と12月に、応援の寄付を募集するキャンペーンを実施しています。

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Image by Jason Leung

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