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寄付月間2025 インタビュー⑦


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世間の評価を手放し、親子で「今」を積み重ねる幸せの形

執筆者 かおさんインタビュー

聴き手 吉岡マコ


今年、シングルマザーズシスターフッドは設立5周年を迎えました。この節目の年にあたり、この4年の間にエッセイを執筆してくれたシングルマザーたちを再訪し、彼女たちの「その後」に耳を傾けるスペシャルインタビューを実施しました。


5周年インタビューシリーズ7回目の今回は、これまで2回に渡ってエッセイを執筆してくれた、かおさんが登場。


最初のエッセイ(2023年5月)では、娘さんの不登校に直面し、「自分の何がいけなかったのか」と自らを責め、暗闇の中にいた当時の苦しい胸の内を吐露していました。


次のエッセイ(2024年12月)では、母娘で移住を決断したときのこと、ランニングを通じて娘との間に「無くてはならない一本の線」を引き、お互いの道を尊重し始めるまでの心の変化を綴っています。


今回のインタビューでは、衝撃的な出来事として、娘さんの自傷行為に向き合ったこと、その出来事を経て、どのようにして「娘のそのまま、自分のそのまま」を受け入れられるようになったのか、その深い軌跡をじっくりと伺いました。


かつては部屋にも入れてもらえないほど不仲だった時期を乗り越え、現在は親子で毎朝のラジオ体操やランニングを楽しむなど、東京の住まいで「わちゃわちゃ」と笑顔で過ごすお二人の姿があります。


「揺れながらも前に進んできた」というかおさんの言葉は、今まさに葛藤の中にいる多くのシングルマザーの心に、ささやかな希望を届けてくれるはずです


かおさんのエッセイ



かおさんへの7つの質問


過去に執筆したエッセイを今読み返してみて、どんな思いが湧いてきますか?


マコさんの音声配信のタイトル「自分らしく、揺れながら進む」という表現が、頭に浮かびました。「揺れながら、前に進んできたよね」と娘とも話しました。前に行ったり、後ろに行ったり、揺れていたけど、揺れながら前に進んでるんだなあと実感します。


「当時の自分らしいな」と思うところ、また「今の自分とは違うな」と感じるところがあれば教えてください


当時の自分は、不登校の娘を責めていて、「こうあるべき」という一つの像に囚われていました。不思議なことに、今は全くそうではなくなりました。そのきっかけは、ある衝撃的な出来事でした。


夏休みのおわりに「宿題やった?」と訊いたら、出来ていなかった。その時「学校は行けなくても、勉強はやったらできるんだからやってよ!」と強く責め立ててしまいました。その後、娘が、自傷行為をしていたことがわかったのです。


衝撃的でした。私が「やれるでしょ」と思っていることも、この子にとってはすごく辛くて、ちょっと間違ったら死んじゃうのかなってびっくりして。


小児科で検査したり精神科でみてもらったりして、「私のやり方じゃダメなんだな」「この子はこの子なんだ」「彼女が安心できる場所を作ってあげないと」と受け入れられるようになるところまで、やっとここまできました。


エッセイを書いたときから現在までの間で、あなた自身に最も大きく起きた変化は何ですか? 


娘との関係性です。


私は世間的な評価を気にして、勉強ができて、偏差値の高い学校に入る事が絶対的に良い事だと思っていました。「みんな学校に行けているのになぜあなたは行けない?」と娘の事も自分の事も責めていました。


結果、それが娘の自傷行為にまで繋がったわけです。


それがきっかけで、私の考えも変えざるを得なくなりました。娘といま一緒にいられることの幸せに気付き、娘のそのままを受け入れようと思いました。そして自分自身のそのままも受け入れていけるようになっていきました。


移住先の淡路島では、個室の子ども部屋もあったので、不仲の時は、部屋にも入れてもらえず、会話も少なく笑顔も少なかったのですが、今は淡路島から東京に戻ってきて、東京の狭い部屋でわちゃわちゃ触れ合いながら過ごしています。


最近、毎朝近所のラジオ体操に二人で参加しています。早朝6時半から。たぶん最年少の中3です。昨年、ランニングを再開したので、ラジオ体操への会場も親子でランニングで往復しています!隅田川のランイベントにも親子でエントリーしました。


エッセイを書いた時の自分にメッセージを送るとしたら、どのような言葉を伝えたいですか?


表現してくれてありがとう。今このエッセイが、娘との宝物です。


今日明日を乗り越えるのに必死な私は、いつも今で精一杯。だから、書いておかないと振り返れない。こうやって書き残しておくと、振り返れるんだということに気づいた。


娘も、時々読み返して私のエッセイを大事にしてくれているよ。


これからの3年間で、あなた自身が大切にしたいこと、また実現したい夢や目標があれば教えてください。


とにかく、やりたいことをしようと思います。娘も来年4月から高校生、義務教育も終わる。私も来年50歳、年を取る現実を感じます。


今までは生活の為に必死に過ごして、我慢が多かったシングルマザー生活ですが、残りの人生を考えると、やりたくないことをやってる場合ではない!というのが今の心境です。


体力があるうちに、娘と、やりたいことをやる。自分のキャリアも、生活の為でなく好きな事を仕事に。頑張って貯金もしてきたし、お金のことは一旦気にせずやりたいことをやってみようと思います。例えば、

・娘と海外旅行、留学

・娘とマラソン大会に出場(これは年明けに実現しますね)

・娘と浅草で着物を着て外国人に観光案内のボランティア


キャリアのことも、やってみたかったマックでバイトとか、プログラミングの勉強とか、固定観念にとらわれずに、興味のあることはどんどんやってみようと思います。


自分のエッセイの中で、お気に入りのフレーズを1つ教えてください。


涙と汗と埃にまみれた娘の顔が、なんとか前をみているように思う。

生きるって大変で単純で」(2023年12月)より


揺れながらも自分らしく前に進んできました。


最後に、このインタビューを読んでくれた読者にメッセージをお願いします。


シングルマザーは世間的にはかわいそうな存在なのかもしれない。偏見をもった対応をされたこともあるけれど、私は私の足でいまここに立っています。


娘との命をかけた苦しいやりとりが、いまの大きな幸せにつながりました。数々の深い経験を経て、娘と一緒に、力を抜いてここに立てています。


私は自分と娘を大事にしたからこそシングルマザーの道を選び、どんなに辛くても人生の手綱は放さなかった。だから、いまは、私の人生、悪くない、と思っています。



5周年を迎えたシングルマザーズシスターフッドをぜひ応援してください!
最後までお読みいただきありがとうございました。NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、ひとり親の心身の健康とつながりを支援する団体です。毎年5月と12月に、応援の寄付を募集するキャンペーンを実施しています。

いただいたご寄付は、シングルマザーのセルフケア講座や表現による自己の回復プログラムを継続するための運営費として大切に使わせていただきます。こちらの寄付ページで受け付けております。

シングルマザーズシスターフッドの支援活動に少しでもご共感いただけましたら、ぜひ応援者になっていただければ幸いです。


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