寄付月間2025 インタビュー⑥
- Maco Yoshioka

- 13 分前
- 読了時間: 9分

レモンをレモネードに変えてきた時間を振り返って
執筆者 いっちーさんインタビュー
聴き手 吉岡マコ
今年、シングルマザーズシスターフッドは設立5周年を迎えました。
この節目の年にあたり、これまでエッセイを執筆してくれたシングルマザーたちを再訪し、彼女たちの「その後」に耳を傾けるスペシャルインタビューを実施しました。
インタビュー6回めとなる今回は、これまで2本のエッセイを通じて、さまざまな葛藤やそれでも前向きに生きていく覚悟を綴ってくれたいっちーさんが登場。
書くことで見えてきた自分の変化、そこから始まった新たな展開、そしてこれから大切にしていきたい未来について、お話を伺いました。
いっちーさんのエッセイ
2021年12月
2022年12月
1. 過去に執筆したエッセイを今読み返してみて、どんな思いが湧いてきますか?
かけいぼ継続は力なり!2021年12月
初めて挑戦したエッセイで、マネーリテラシー講座を受けた後のレポート的になっちゃっていますが、その時始めた家計簿は今も続いていますし、受講していて大正解だったと改めて実感しています。
晴れときどきレモン 2022年12月
将来娘が読んだとしても娘を勇気づけられたら、と思いながら書いたはずなんですが、読み返してみると、まとまりがなくて未熟なエッセイだなぁと思います。でもそう思うってことは今はちょっとは成長したのかな?とポジティブにとらえるようにします!
2.「当時の自分らしいな」と思うところ、また「今の自分とは違うな」と感じるところがあれば教えてください。
娘との関わり方が変わったと思います。
『晴れときどきレモン』を書いた時、娘は10才で、まだ小学生。エッセイにもあるようにフットワーク軽くいつも母娘2人でどこかに出かけていました。いろいろな人と触れ合って、いろんな考え方を知ったり、いろんな体験させたいな、という思いが、ひとり親だからこそ強かった。
今は娘は中学2年生。多感な時期でもあり、母娘で出かけることも減りました。今は娘が自主的に何をしたいかを、見守る時期なのかなと感じています。
3. エッセイを書いたときから現在までの間で、あなた自身に最も大きく起きた変化は何ですか?(キャリア、人間関係、習慣、考え方などの視点で)
資格を「活かせていない」と感じていた時期
これまで、思い立つといろいろな資格に挑戦してきました。保育士資格、英検1級、通関士など、興味を持ったものには迷わず取り組むタイプです。ただ、その資格を生かせずに終わることも多く、キャリアを積み重ねるのが苦手だと感じていました。
保育士資格を取ったのに、英語保育園をすでに離れていたり、英検1級を持っているのに英語を使わない仕事をしていたり、通関士の資格を持ちながら、今は通関の部署では働けていなかったり。
小さな機会がつながり始めた
ただ、最近、小さな機会が続けて訪れるようになりました。女性の創業支援をしている友人から声をかけてもらい、講座の託児のアルバイトを週末に手伝うようになりました。保育士資格が役立っています。
また、英会話カフェの方からお声がけいただき、国際交流イベントで通訳サポートを単発で担当することも出てきました。久しぶりに英語を使って働く時間は楽しく、ちょっとした副収入にもなっています。
通訳の仕事を終えた日に、いただいた謝金で評判のハンバーグ屋さんに娘と夜ごはんを食べに行きました。少し奮発しましたが、娘もとても喜んでくれて、「いいお金の使い方をしたな」という満足感がありました。
あの資格も、この経験も、つながっていた
保育士資格も英語のスキルも、ちゃんと生きている、という手応えを得て、無駄なことは何一つないと心から思えるようになりました。通関士の資格はまだ十分に生かせていませんが、通関部門への異動希望を出しています。いずれ機会が訪れればいいなと、前向きに構えられるようになりました。
100の資格を持つ女、という励まし
以前、資格を生かせていないと友人に嘆いたとき、『100の資格を持つ女』というドラマがあると教えてくれました。シングルマザーの警察官が100個の資格を駆使して事件を解決していく物語だそうで、「いっちーもそれを目指したら」と言われ、思わず笑ってしまいました。
4.エッセイを書いた時の自分にメッセージを送るとしたら、どのような言葉を伝えたいですか?
次なるレモンは娘の不登校
エッセイの中で、離婚をしたことが「人生で最初に投げつけられたレモンだった」と書いていて、「この先の人生も毎日が晴れ、というわけにはいかず、ときどきレモンが降ってくることもあるだろう」と書いてます。当時の私は知る由もありませんが、私に降ってきた次のレモンは娘の不登校でした。
子どもが不登校になって、最初は誰もが経験するであろう、間違いだらけの対応(不安でいっぱいの保護者に早期解決を促す不安ビジネスにまんまとひっかかりそうになったり!)をしてしまい、ことを悪化させたのかもしれませんが、あらゆる所に相談に行ったり、経験者の話を聞いたり、たくさんの本を読んだり、一通りのことをやって、やっと、魔法のようなメソッドはなく、とても時間がかかることなんだ、ということを受け入れられました。
受け入れることができるようになるまで
受け入れる覚悟が出来ていなかった時期は自分を否定したりと苦しかったです。
エッセイにも書いていますが、離婚直後は家族連れを見ているだけでつらかった。娘が不登校になってからは、朝元気に登校している中学生を見るだけでつらかった。
でもどちらも自分がその状況を受け入れる覚悟をしたら他人のことは気にならなくなっていることに気づきました。
不登校、まだ終わったわけじゃないけど、うまくいかない日があっても大丈夫!と思えているのできっといい方向にいくと思っています。
今は不登校の親の居場所カフェをやっている人や、一緒に親業の勉強をしようという友人ともつながって、精神的にずいぶん安定しました。
娘は部屋に引きこもっているわけではなく、友達もいるし推し活やおしゃれを楽しみ、お菓子作りなど情熱を注いでいることもあります。親子でたくさん会話もするし、健やかに成長していると思っています。
理解ある職場に恵まれて
職場の理解があることもすごくありがたいです。娘の対応をしていると朝どうしても会社に遅れがちになるのですが、上司は「家庭優先でいい」といつも言ってくれます。
「子どもと一緒にいられるのはあとほんの数年なんだから、出来るだけ一緒にいて、遅れてもいいからしっかり送り届けてから来てください。子どもの手が離れてからたくさん働いてもらえばいいから今は家庭優先で!」と。
子どもの手が離れたらこの職場で今までの分を恩返しする気持ちで貢献したいと思います。
当時の自分へのメッセージ
当時の自分には「だいぶ回り道をしたけど、一周回って親子関係が良くなったと思うし、今はこの時間が必要だったとわかるし、なんとか前に進んでいるよ!」と伝えたいです。
5.これからの3年間で、あなた自身が大切にしたいこと、また実現したい夢や目標があれば教えてください。
日商簿記3級にチャレンジ
エッセイに、次はファイナンシャルプランナー資格にも挑戦してみようかな?とありますが、実は先日、日商簿記3級の検定試験にチャレンジして、合格しました!
市の母子父子福祉センターが主催で、日商簿記3級検定講座が無料で受けられたので、8月から11月の4か月、仕事の後に週2回講座を受けて検定を受けました。
転職してからの私は、会社の収支改善のための分析や投資評価などをする部署に所属しています。会計や財務の知識も必要になってくるので、まず取っ掛かりとして簿記3級は役立ちそうだと思って。
賞に推薦された!
フルタイムでの仕事の後に週2回、2時間の講座というのはなかなかハードではありましたが、母子父子福祉センターの理事長から「いつも講座に検定にがんばっているから、国際ソロプチミストの夢を生きる女性のための教育・訓練賞に推薦するから応募してみない?」とお声がけをいただきました。これは資格等の取得にかかる学費を援助していただけるというものです。
母子父子福祉センターには以前ひとり親けんこう白書を置かせていただいたこともあり、私が同じシングルマザーの支援にも関わっていることもこの賞の推薦の理由の1つだったそうです。
学び続けていたらこんな賞をいただけるチャンスもやってくるものなんだなぁと、ありがたく思います。これからの3年間で、簿記3級を取得したら、次は簿記2級に挑戦したいです。その後は、その時所属している部署にもよると思うのですが、学びは続けていきたいです。
6. 自分のエッセイの中で、お気に入りのフレーズを1つ教えてください。
学ぶことは、自分の可能性を広げてくれるし、人生を豊かにしてくれる。継続は力なり!の精神で、これからもしぶとく楽しく学び続けていきたいです。
『かけいぼ継続は力なり!』より
「しぶとく」、という言葉が自分らしいと思います。セルフケア講座も、しぶとく続けていることの1つだと思います。
持ち前のフットワークの軽さと楽観主義で、レモンが降ってきても、ぎゅうぎゅうと絞っておいしいレモネードに変えていこう。
『晴れときどきレモン』より
結局のところ、あまり考えこまず、まずやってみよう、という楽天的なメンタリティが自分かなと思うので。気づけばお気に入りのフレーズはどちらもエッセイの最後の文でした。
7. 最後に、このインタビューを読んでくれた読者にメッセージをお願いします。
エッセイを読んでくださり、ありがとうございます!
私自身がシングルマザーズシスターフッドの仲間が書くエッセイの大ファンで、共感して涙したり、励まされたり、笑わせてもらったりしています。
「シングルマザー」とひとことに言っても、いろいろな家族の形があり、その多様性に驚かされます。その多様性が祝福される社会であってほしいという想いはシスターフッドに関わる皆の共通した願いだと思っています。
身近にひとり親のお知り合いがいたら、まずはシングルマザーズシスターフッドのセルフケア講座をおすすめしていただけるとうれしいです。
それと、以前セルフケア講座に参加していたけど、もう子どももだいぶ大きいし、と遠慮しているかたもいるかもしれないのですが、全然遠慮せず、またセルフケア講座に参加してくださったらうれしいです!私もしぶとく何年も続けています^^
5周年を迎えたシングルマザーズシスターフッドをぜひ応援してください!
最後までお読みいただきありがとうございました。NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、ひとり親の心身の健康とつながりを支援する団体です。毎年5月と12月に、応援の寄付を募集するキャンペーンを実施しています。
いただいたご寄付は、シングルマザーのセルフケア講座や表現による自己の回復プログラムを継続するための運営費として大切に使わせていただきます。こちらの寄付ページで受け付けております。
シングルマザーズシスターフッドの支援活動に少しでもご共感いただけましたら、ぜひ応援者になっていただければ幸いです。
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